Zendesk導入事例インタビュー
株式会社エアトリインターナショナル
総合旅行予約サイト「エアトリ」を運営する株式会社エアトリインターナショナルは、海外旅行商品の問い合わせ対応プラットフォームを刷新。今後予測されるさまざまな変化にも、コストをかけずに柔軟に対応できるZendeskを選んだ。導入後早々に新型コロナウイルス感染拡大という不測の事態に直面することになったが、株式会社エクレクトの支援を受けながら臨機応変な対応を実現。Zendeskが期待以上の働きを見せている。
Zendeskソリューション導入の背景と課題
「最高のテクノロジーと最高のホスピタリティで世界中の旅する人々に感動を」。株式会社エアトリインターナショナルは、こうした想いのもと、国内・海外の航空券、ホテル、パッケージツアーなどの旅行商品を提供するオンライン旅行エージェントである。
1979年、前身である株式会社エアーリンクが旅行業の営業を開始し、2006年に株式会社ディー・エヌ・エーのグループ会社となってオンライン旅行販売をスタート。創業以来培ってきたコンサル力にIT解決力が加わり、さらに2018年には株式会社エボラブルアジアの子会社となってマーケティング力が強化された。日本国内における業界屈指の成長率は、このコンサル力、IT解決力、マーケティング力の3つの力に支えられている。また、アジア・パシフィック圏(APAC)を中心に海外旅行者を対象とした海外版オンライン総合旅行サイト「AirTrip」を展開するなど、アジアNo.1、世界No.1を目指す挑戦も続く。
そんな同社のコアを担うサービスの一つに、日本最大級の総合旅行予約サイト「エアトリ」の運営がある。このサイトで海外の航空券やホテル、ツアーなど海外旅行商品の問い合わせ対応を支えているのがZendeskだ。2019年8月までは別のカスタマーサービスツールを使用していたが、特にコスト面で悩みを抱え続けていたという。
成果が出ていなかったわけではない。FAQサイトの改善努力により、電話の問い合わせ件数20%削減、自己解決率16%向上など、むしろ一定の成果は上げていた。想定外にコストが膨らむ要因はどこにあったのか。株式会社エアトリインターナショナル FIT事業本部 カスタマーサービス部(以下、CS)部長の中西 由美氏は、こう振り返る。
「以前のツールは長期契約で、先々の使用量を見越して事前に購入しておく必要があったうえ、自社のニーズに合わせたカスタマイズに柔軟性がなく、新たな要件が発生するたびにコストも時間もかかることがネックになっていました。2018年に台風21号が直撃し関西国際空港が閉鎖されたニュースは記憶に新しいと思いますが、そうした不測の事態が発生したときに問い合わせが突発的に急増しても、まったく身動きが取れないわけです。」
ビジネス上の機動的な意思決定やアクションを妨げない、コスト効率と柔軟性に優れたツールがほしい。そんな思いは、比較的早い段階からくすぶっていたようだ。
Zendeskが選ばれた理由
ツールの契約更新期限のタイミングを見計らい、リプレースの検討を始めた同社は、複数のツールを比較検討した結果、Zendeskの導入を決めた。プロジェクトを支援したエクレクトにも費用対効果の高い活用方法を相談。導入に関して決裁権を持つ経営陣を説得する上で、機能面で遜色がないばかりか自社内でのカスタマイズが可能で、かつコストが大きく抑えられるZendeskは最適だったという。Zendeskを導入すれば、コストが前年を大きく下回ることは明らかだった。
「一番の決め手はコストですが、今までのやり方を変えずに同じ成果が出せるという確信と、以前より現場が臨機応変に動けるようになるだろうという期待がありました」と中西氏。経営陣にとってみれば、成果を維持しつつコストダウンできるとなれば反対する理由はない。さらに、グローバルでZendeskを導入していた部門があり、担当者から直接ヒアリングできたことも導入を後押しした。
導入にあたっては、エクレクトがデータ移行も担当した。「以前のツールに蓄積された一年分の問い合わせデータを見られる状態にしてもらっただけでなく、1,000近くあったFAQの移行や、問い合わせフォームの作成もお願いしました。もちろんZendeskは教えてもらえば簡単なのですが、導入時だけはお手伝いいただきました」と中西氏は語る。
Zendesk導入の効果
コスト面はもちろん、変更への対応力にも優れるとして評価されたZendeskは、導入後まもなく、さっそく実力を試されることになった。2019年12月、中国湖北省武漢市から広がった新型コロナウイルス感染症である。感染症の世界的拡大に伴い、効果をじっくり検証する間もないまま、急激に膨らんだ問い合わせに対応する日々が始まったのだ。増大したキャンセル料の払い戻し依頼に対応すべく、顧客がサイトのマイページからおこなったキャンセル処理をZendeskでチケット化するようにしたため、2020年に入り月間チケット数は約2万件に急増。Zendesk Supportでこれらを処理することになった。
中西氏は、「かつて経験したことのない事態に直面していたのは我々だけではありません。そんななか、遅い時間でも快く対応してくれたり、現場の人間が動きやすいように考えてくれたり、存在そのものが非常に心強かったですね」とエクレクトを評価する。
しかも通常より少ない人数で対応するとなると効率化が重要な鍵を握るが、Zendeskの導入後、CSメンバー以外が返信可能な体制を確立したことが功を奏した。たとえば、マイレージの登録依頼が届くとZendeskが登録受付メールを自動返信する。実際の登録作業は別の担当者にエスカレーションし、登録完了メールは送らない。これまでは完了メール送信までの全プロセスをCSメンバーが担っていたが、この方法を採用して以来、問い合わせの20%~30%がCSメンバーの手を離れている。
「Zendeskなら、自動化の機能であるトリガを使って問い合わせ内容に応じて対応を変えたり、問い合わせフォームを複数パターン作成したりすることができ、カスタマイズコストもかかりません。おかげでフレキシブルに対応できることが増えました。Zendeskの操作は直感的でわかりやすいので、事前にエクレクトからZendeskのトレーニング資料を提供してもらった程度で、特に社内独自のマニュアルも作っていません。本番環境で使ううちに慣れるので、トレーニングもほとんど要りませんでした。運用開始後も、管理者がメンテナンスに頭を悩ますことがなく、Zendeskへの切り替えを機に定期的かつ複雑なアップグレード作業からも解放されました。クラウドソフトウェアならではのメリットですね。」(中西氏)
トリガの設定
また、不測の事態においては同じような問い合わせが増えるため、可能な限りFAQサイトに誘導し、自己解決率を上げる取り組みも進む。「日々刻々と状況が変動するなか、デザイナーがその都度Webサイトのお知らせのコーナーを作りこまなくても、問い合わせの内容を見ながら臨機応変にFAQサイトを変えられます」と中西氏。こうしたFAQサイトの継続的改善により、同社が重要KPIに設定する問い合わせ発生率は、導入後まもなく13%を記録。ここまで低く抑えられたのは初めてのことである。
FAQサイト
今後の展望
次のステップはZendeskのさらなる活用だ。現在は、「エアトリ」という1つのブランド名を掲げながらも、国内は親会社、海外はエアトリインターナショナルという役割分担で問い合わせ対応をおこなっているため、非効率な上に顧客にとってのわかりにくさにつながっている。将来的にはFAQサイトも含めて一元化すると共に、他のツールで管理している電話やチャット経由での問い合わせをZendeskに取り込んでいくことや、社内で管理している顧客情報と連携することも視野に入れている。
また、FAQサイトの社内向け活用にも前向きだ。
「不測の事態は今後も起こり得ます。今回のように出勤できない事態になった場合は人員の確保も難しくなるので、担当者に手取り足取り教えたり、細かく指示を出したりすることができません。社内向けFAQサイトを構築してZendeskに蓄積されたナレッジを有効活用できたら、業務の負荷が大きく軽減されるでしょう。」(中西氏)
実は以前のツールでも社内向けFAQサイトを構築していたが、追加コストが必要なうえに管理者にしか更新権限がなく、十分に活用しきれずにいたのだという。ZendeskならCSメンバーが個々にナレッジを更新し、チームで共有できる仕組みを容易に構築できる。現場レベルで活用が進めば、それが顧客にとってのわかりやすさ、使いやすさへとつながっていくことは間違いない。Zendeskで機動的な体制を実現したエアトリインターナショナルは、テクノロジーとホスピタリティの両輪で、アジア圏はもちろん、世界での存在感を強めている。
コメント:「いつ何が起こるかわからない世の中ですから、不測の事態にも、ビジネス上の意思決定を妨げることなく臨機応変に対応できるサポート基盤を構築できたのは大きな強みです。」
株式会社エアトリインターナショナル
FIT事業本部 カスタマーサービス部 部長
中西 由美氏
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