Zendesk導入事例インタビュー
GMOクラウド株式会社
GMOクラウド株式会社は、多言語化対応、マルチブランド対応を可能にするZendesk Supportを、ゲーム開発者向けの2つのサービス「Photon」「PLAYCANVAS」で活用している。当初の導入目的は多言語化対応だったが、トリガ機能の活用、追加のアプリケーション開発を通じて、着実に効率化が進んでいる。より使い勝手のよい仕組みの実現に向けてITでサポートの現場を変える挑戦には、株式会社エクレクトとの二人三脚で臨んだ。
Zendeskソリューション導入の背景と課題
ITのチカラで、社会も私たちの身の回りも、急速なスピードで変化している。そんななか、「コトをITで変えていく。」をミッションに、多種多様なITサービスを通して新たな価値体験を提供しているGMOクラウド株式会社。主力事業であるクラウド・ホスティング事業、セキュリティ事業の安定的成長に向けた施策を実行する一方で、従前より注力しているクラウド型電子契約サービス「GMO電子印鑑Agree」のように、新しい成長機会を捉えた取り組みも続けている。その先に見据えるのは、日本初・世界初の「はじめて」である。
提供するサービスは、Webサイト作成からアプリ開発、サーバー運用・保守代行、自動車向けソリューション、IoTまで多岐にわたり、ソリューション事業の一環にはゲーム開発者向けのサービスもある。グローバルサービスプロバイダー事業部が取り扱う「Photon(フォトン)」や「PLAYCANVAS(プレイキャンバス)」などがそれだ。Photonは、マルチプレイの実装を容易にするオンラインゲーム開発向けネットワークエンジン、PLAYCANVASは、3Dゲームの制作が可能なオープンソースのクラウド型ゲームエンジンである。
2015年から現在に至るまで、この2つのサービスの問い合わせ対応業務をZendesk Supportが支えている。以前使用していた顧客対応ツールは、他事業に特化した作り込みがされており、使い勝手の悪さからリプレースを望む声が上がっていたという。GMOクラウド株式会社 グローバルサービスプロバイダー事業部 事業推進セクション セクションチーフの北山 修氏は、「多言語化に対応していない、承認フローをはずせないといったストレスのほか、新しい要件が発生した場合には、情報システム部門に開発を依頼する必要があり、時間がかかっていました」と説明する。
特にアジア太平洋地域(APAC)でサービスを展開するにあたって多言語化対応は最優先課題だったが、自由度の低いシステムが柔軟な対応へのハードルになっていた。北山氏も、「韓国語で届いた問い合わせが文字化けして読めない場合は、別途メーラーで対応するなど、手間のかかるプロセスを強いられていました。当然ながら業務の効率化は二の次。この時点ではプロセスの効率化を考える余裕はありませんでした」と振り返るとおり、自部門に合ったサポート基盤の構築が急がれていた。
Zendeskが選ばれた理由
約半年をかけて複数のカスタマーサービス製品の検討を進めた結果、Zendesk Supportの導入を決定。決め手は多言語化対応だけではない。当時から、Photon以外に複数のサービスを立ち上げていく計画があったため、マルチブランド対応を簡単に実現できる点も重視した。
その他にも、トリガを設定しておくことで問い合わせに自動返信ができるなど、欲しい機能がひととおり揃っていることを高く評価。信頼できる取引先がZendeskを使用しており、使い勝手について事前にヒアリングできたことも安心感につながった。
Zendesk導入の効果
PhotonもPLAYCANVASもテクニカルな内容に関する問い合わせがほとんど。サービスごとにグループを分け、それぞれの問い合わせに対応している。サービス提供元へのエスカレーションが必要なケースも多いため、解決までにかかった時間はそれほど重視していない。KPIには初回応答時間を設定し、対応状況を可視化することで遅れや漏れをなくし、クローズまで円滑かつ確実に対応することを目標としている。「Zendesk Supportなら対応状況が一覧で確認でき、誰が何をどこまでやっているのかが一目瞭然です」と北山氏。
また、Zendeskを選択した理由の一つでもある多言語化対応を実現。PLAYCANVASは日本語のみだが、Photonについては、Zendesk Guideを活用して多言語でのヘルプページを構築している。問い合わせ内容を、テクニカルチーム、営業チーム、オペレーションチームの全チームで情報共有を兼ねて週一でレビュー。国ごとに多少の差はあるが、定期的かつ継続的にヘルプページのアップデートに努めている。
FAQサイト
さらに、Zendeskの導入を機に、応対の効率化がより進みつつある点も見逃せない。トリガ機能を活用し、韓国語なら韓国語、台湾語なら台湾語というように顧客と同じ言語で問い合わせ受付メールを自動返信できるようにしたほか、便利に使い続けるための機能を独自に付加している。その1つが「リンクチケットアプリ」。開発を担当したのがエクレクトだ。従来は、サービス提供元や関係者などに問い合わせ内容をエスカレーションすると、エスカレーション先でのコミュニケーション状況が追えなくなってしまっていた。この問題を解消するために、元のチケットとエスカレーション先の複数のチケットを紐づけする仕組みを追加したのである。「時間もリソースも専門知識もないところにエクレクトさんを紹介され、開発を依頼しました。非常に迅速に対応いただき助かりました。」(北山氏)
リンクチケットアプリ
これにより、Zendeskの画面からエスカレーション用のチケットを速やかに作成できるだけでなく、エスカレーション先の担当者や対応状況までを正確に追えるようになった。北山氏は、「以前は手作業で紐づけ作業を行っていたため、手間がかかるうえに、どうかすると忘れてしまったり、複雑化してわかりにくくなったりしていました」と語る。
もう1つは、終了したチケットに対して、顧客もしくはエスカレーション先などから時間をおいて返信があったときの対応だ。こちらもエクレクトが開発を担当した。Zendeskでは、いったんチケットが終了すると再び変更したりオープン状態にしたりすることはできないが、終了したチケットを参照する「補足チケット」を作成できる。しかし、元チケットの内容を確認するためには、チケットIDのリンクをクリックしなければならないため、補足チケットに元チケットのコメントを手作業で貼り付けていたのだ。それほど頻繁に発生する作業ではないものの、発生したときの負荷が大きいことや、エスカレーション先からの強い要望もあり、補足チケットを開いた際に、過去の問い合せ内容が自動でアプリ画面に表示されるようにし、さらにはアプリ内のコピーボタンひとつで、補足チケットのコメントとして引用できるようにしたという。「リンクチケットアプリも確かなアウトプットが出てきて満足度は高かったのですが、それ以上にメリットの大きさを実感しています。エクレクトさんにお願いしていなかったら、社内で膨大な手間が発生し、オペレーションも複雑化していたと思います。開発に投じた費用も確実に回収できるでしょう」と北山氏。
補足チケット
その他に、社内のコミュニケーションツールとして使用しているチャットアプリSlackとの連携により、ZendeskからSlackへのチケット通知も実現している。他の業務と並行でサポートにあたっている担当者もいるため、Slackさえ見ていればZendesk側の動きをリアルタイムに把握できるのは便利である。また、顧客満足度アンケートに添えられたコメントをSlackで共有し、担当者の働きを称えるといった使い方もしている。
今後の展望
導入から5年。2021年にZendesk Supportの分析機能「インサイト」の提供が終了するのに伴い、現在は、インサイトで作り込んだ仕組みをZendesk Exploreへ移行する作業を進めている。これと並行して、トリガ機能の活用によりオペレーションの自動化をさらに推し進めていく考えである。
多言語化対応、マルチブランド対応が実現した今、さらに効率化において一定の成果を実感できれば、グローバルサービスプロバイダー事業部内での活用の広がりとともに、GMOクラウド内でもZendeskの存在感は高まっていくだろう。より正確に、より使いやすく、Zendeskでサポートの現場を変え、カスタマーサービスの質を上げる挑戦は、まだまだ多くの可能性を秘めていると言えそうだ。
コメント:「多言語化対応が必須であったことに加え、今後取り扱いブランドが増えていくことを前提にマルチブランド対応のZendeskを導入しました。エスカレーション先のやりとりも含めチケットを可視化でき、クローズまで適切に対応できます。」
GMOクラウド株式会社
グローバルサービスプロバイダー事業部 事業推進セクション
セクションチーフ
北山 修氏
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